パッチワークは、ヨーロッパで生まれ、アメリカで発展したと言われています。
さらにキルトの歴史をひも解いていくと、さらに古く、さまざまな文化や地域を経て、現在に至ることがわかります。
実際にどんな物語があったのか、パッチワークとキルトの歴史をひも解いてみましょう。
目次
キルトの歴史
キルトの歴史は古く、エジプト、中国、インド、ロシアなどで、その技法が用いられていたとされています。
複数の布を重ねて縫ったキルトは、防寒用、敷物などに取り入れられ、7世紀頃には、イスラム帝国の騎士が鎧(よろい)の内着として使っていたのだとか。
その後、十字軍の遠征(1096~1270)によって、キルトはヨーロッパに伝えられ、17~18世紀には華やかな衣服や室内装飾として発展し、大流行しました。
パッチワークキルトの歴史
アメリカンキルトのルーツ
アメリカンキルトの一種であるパッチワークキルト。このルーツとして語られるのが、1620年イギリスからメイフラワー号に乗ってやってきた移民たちです。
この時代の航海はそりゃもう大変で、移民たちの事情もいろいろ。宗教をめぐる対立だとか、信教の自由を求めてだとか。弾圧を受けた清教徒(ピューリタン)もいたものだから、のんびりもしていられません。
船には限られた荷物しか持ち込めないし、衛生状態は悪いし、食べ物もない。ビタミン不足による病気にも苦しめられました。
やっとのことで到着したニューイングランドは厳しい冬。寒さ病気、長旅の疲れと食糧不足もあり、半数の人は死んでしまいました。
そんなこんなで始まった厳しい生活。自給自足、大変だ。物がない。どうしよう。ここから始まるエコ精神。
移民たちは、傷んだ衣類や小さな布地も大切に、使えるところはつなぎ合わせて再利用しました。保温のためのさまざまな工夫して、布団や防寒具を作りました。これそが、アメリカンキルトのルーツと言われています。
アメリカンキルトの発展
移住後の開墾が一段落すると、布地を所有できる富裕層がパッチワークキルトを作り始めます。1700年代の終わりには、ニューイングランドの中流家庭で、一部の女性たちが贅沢なパッチワークを作り始めました。
そして、18世紀半ばから始まる産業革命。紡績機や織布機が発明され、1820年代には「キャリコ」と呼ばれるプリント布が気軽に買えるようになりました。ここから、実用と装飾を兼ねたパッチワークの流行が始まります。
その後、パッチワークは全米各地に広がり、1850年代までに最盛期を迎えることとなるのです。ちなみに日本だと、ペリーが浦賀に来航した頃のことです(1853年)。
大恐慌時代や第二次世界大戦など、時代の流れとともに発展と衰退をくり返しながら、パッチワークキルトは現在のモダンキルトへとつながっていきます。